僕は高知県に住む38歳のノンフィクション作家です。僕の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。
これまで賃貸住宅の敷金は、「何かあったときのための保険」というような意味がありました。すなわち入居のとき家賃の1~2か月分を家主に預けておき、入居者が家賃を滞納したり部屋を破損したりすれば、その分を敷金から差し引きます。そして退去するとき、残金が返還されるシステムです。しかし、この制度は法律に明確な規定がないため、多くのトラブルの元になってきました。すなわち家主側がハウスクリーニング代、クロス張り替え代、襖交換代などと称して、どんどん敷金から差し引いていき、入居者にはほとんど返ってこないということが頻発しました。こうした事態に鑑みて、2015年には120年ぶりに民法が改正される見通しになっています。
改正後の民法では、敷金について「賃料などを担保する目的」の金銭とはっきり定義されています。つまり滞納があれば差し引かれますが、修理などの目的には使えないことになります。また賃貸契約が終了すれば、ただちに返還する義務があるとも定めています。さらに賃借人の原状回復義務については、「通常の使用による損耗や経年劣化は含まない」と定義されています。この定義は従来はガイドラインでしかなかったものを、法律の条文で明確に規定したものです。これにより、極端に内装を汚した場合を除き、家主は入居者に修繕費を請求できなくなります。法改正に伴って、敷金トラブルは減ると予想されますが、入居者も家主も正しい知識を持って契約を結ぶことが大切です。