私は福井県に住む64歳の裁判官です。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。
賃貸物件を契約する際、敷金・礼金の他に保証金と言う言葉が出てきたことはないでしょうか。敷金や礼金は知っているし、その言葉自体も初めて聞いた言葉ではないので、気にしてこなかったという人も多いかもしれません。保証金の定義としては、一般的に「契約を守ることを担保するために、貸主に支払う金額」とされているようです。ニュアンスは少し違いますが、敷金の意味する性質とほぼ同じで、原則として契約終了時に返還されるお金でもあります。また、地域によっても呼び名が異なり、関東では「敷金・礼金」が一般的であるのに対し、関西や九州の一部では「保証金・敷引き制度」と呼ばれることがあるようです。では、敷金との明確な違いは無いのでしょうか。
敷金の場合、退却時に原状回復に必要な修繕費用を差し引いた金額が返還されることになります。修繕の責任をどちらがどれだけ負うのか判断が付きにくいグレーゾーンの場合、貸主との間で返還額のトラブルが起こりがちになってしまいます。一方、保証金の場合は、敷引き制度と呼ばれる制度があり、何ヵ月分、何%など、予め定められた一定額の敷引き金を無条件で差し引いた上での返還となります。つまり、家賃滞納・未払いや、故意による破損や損傷が無い場合は、契約時に予め負担額を決めてしまう事で、そのようなトラブルを回避し易くすることができる制度とも言えるのです。敷金制度に慣れている場合は、金額を無条件で差し引かれてしまう事に驚くことが無いよう、保証金制度のもと賃貸契約を結ぶ際は、契約時に「敷引き金」を必ず確認しておくことが大切です。