私は千葉県に住む60歳の葬儀屋です。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。
賃貸物件の広告などをみていると、「礼金」という欄が必ずと言っていいほどあります。礼金とは、戦後始まった習慣です。戦後の物件の少ない時代に、家を貸してくれた大家さんに「貸してくれてありがとう」という感謝の意味を込めてお金を包んだのが始まりです。それが慣習化して、戦後の復興を終え、賃貸物件が豊富になった現在においても残っているのです。敷金と違って担保ではありませんので、賃貸契約が終了し退去するときに返還されることはありません。そういう性質のお金ならば、なるべく払いたくないと思うのが当然です。今は礼金ゼロという物件も出てきていますが、安易にそういった物件を選ぶべきではありません。支払わないことで、借りる側にデメリットがある場合があるからです。
例えば、敷金が返還されない特約が付いている、とか。貸主負担の物件の修理をなかなかしてくれないとか、家賃が高めに設定されている、などです。なぜこんなことが起こるかといえば、貸主にとって礼金が大事な収入源だからです。その収入を考慮したうえで家賃を設定しているのです。また、貸主にとっては、借主が短期で退去してしまったときのつなぎのお金にもなります。不動産業者に広告を出すにもお金がかかり、借主が退去した後の部屋のクリーニングにも費用が掛かります。これらは大家さんが負担することになるのですが、借主が短期で何度も入れ替わってしまうと、費用ばかりがかさみ、家賃収入を上回ってしまうこともあるのです。これらを賄うための収入でもあるのです。貸主側の事情だと思われるかもしれませんが、物件がメンテナンスがされている目安にもなりますので、礼金は必要経費と考えるべきでしょう。