賃貸物件の敷金・礼金には地方差あり(滋賀県/建築士/64歳/女性)

私は滋賀県に住む64歳の建築士です。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。


そもそも賃貸物件の敷金や礼金は物件毎に異なり、さらに昨今は入居者獲得競争の激化で相場が安くなる方向性にあるようですが、その慣習自体も地方によって相当異なっています。例えば東京都などの首都圏では、敷金は家賃の1~2ヶ月分、礼金も同じく1~2ヶ月分の場合が多いです。これに対し、北海道の札幌市などでは礼金0の物件が多く、福岡県などでは敷金は家賃の4~5ヶ月分、礼金0の物件も珍しくありません。特徴的なのは、近畿地方の一部、特に大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県の一部に見られる敷引の制度です。これは賃貸契約締結時に、保証金として家賃の5~10ヶ月分相当の金額を家主が預かっておき、退去時に敷引として預かっていた金額の5~8割を償却してしまう、という独特な仕組みです。


退去するまでの居住年数によって償却率が増減するケースも多いらしく、初めから返還しない金額を予め定めておくことになる訳です。ただし、敷引の制度では礼金の受け渡しがないため、他の地方における礼金を含むものであると解釈することもできるでしょう。さらに、京都府や大阪府などでは家賃の何ヶ月分という言い方ではなく、20万円、30万円のようにキリの良い数字で決められるケースも多いです。また、更新料についてですが、関東地方や近畿地方の一部では一般的なものですが、全国的には決してポピュラーな慣習ではありません。2年毎の契約更新時に家賃の0.5~1ヶ月分のケースが大多数ですが、京都府などでは1年毎に家賃の1ヶ月分、もしくは2年毎に2ヶ月分のケースが珍しくありません。遠く離れた地方に転居する場合、国内であっても不動産慣習が大きく異なる場合があることを心に留めておきましょう。