賃貸物件の退去時に必要になる掃除の範囲(奈良県/会計士/73歳/男性)

僕は奈良県に住む73歳の会計士です。僕の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。


人から何か借りた場合には、元通りのキレイな状態にして返すのが礼儀です。使用によって生じた汚れをそのままにして平気で返されたとしたら、もうその相手には二度と貸したくないと考えるのが普通ですし、キレイにするためにかかる費用を負担してもらいたいと考えるのが当然です。それは、賃貸住宅の貸し借りの場合でも同様です。部屋を借りた人は、部屋を退去する際に、その部屋を入居前の状態に戻してから返す義務があるとされています。これを賃貸借契約における原状回復義務と呼びます。実際には、大家が専門業者に部屋の清掃を依頼して、それにかかった費用を敷金から差し引いて借主に返金することになるケースが多いです。ですので、業者に作業を依頼する必要がないくらいキレイに掃除しておけば、敷金が全額返金されることもありえます。


ただし、実際にどの程度の掃除をすれば、敷金を全額返してもらえるのかは、定かではありません。一応、国土交通省が発表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という指針は存在していますが、それに法的な強制力はありません。ですので、物件の大家や不動産会社がとっているスタンスによる影響が大きいですし、部屋の状況によっても変わってきます。しかし、先ほど述べた国土交通省が示している指針の内容程度は把握しておかないと、不測の損害を被る可能性があります。たとえば、畳やクロスの変色や冷蔵庫の電気焼けなどは、通常使用で発生する損耗なので、借主には修復する義務がないとされています。ですので、何も手を加える必要はありません。それらを自分で何とかしようとして逆に変色を悪化させてしまうと、原状回復費用を請求される可能性が出てきますので、注意が必要です。