築年数の古い賃貸物件の良さ(青森県/歌人/67歳/男性)

僕は青森県に住む67歳の歌人です。僕の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。


ご存じのように物件の築年数が新しいほど家賃が高く、物件が古いほど家賃が安くなる傾向があります。特に若者は外観がきれいで新しいマンションなどを希望して、その結果、非常に狭い間取りに暮らさざるを得なくなったりします。反対に築年数を重視しなければ、都心の便利な場所に穴場の如く点在するアパートやマンションを相場よりずっと安い賃料で借りることができ、古ささえ目をつぶればどこに行くのにも便利で快適なシティライフを満喫することができたりします。日本は地震が多いので、賃貸物件を借りるとき耐震構造を気にしますが、意外にもバブルの頃に乱立したスタイリッシュなマンションより築年数の古い昭和の団地のほうが壁が分厚く頑丈な造りであるものが多いです。確かに私も平成の初めにちょっとおしゃれなワンルームマンションで暮らしましたが、隣の話し声がかなりはっきりと聞こえてきて驚いた体験がありました。


それに比べて同じころ働いていた進学塾は昭和に造られた団地の一室にありましたが、どんなに大声で授業をしても、生徒が大声で笑っても、隣の部屋の事務所には全く聞こえませんでした。それを考えると、真に快適な賃貸生活を満喫するには、フローリングやオートロックといった流行りのスタイルにこだわるよりも、分厚い壁の畳の部屋を選択して、音が漏れるのを気にすることなく、友達と談笑したりお気に入りの映画を見たりするほうが見た目にとらわれない内面の豊かさを重視した文化的な生活を送ることができるでしょう。目慣れてくれば、古い畳や何の変哲もない塗り壁もレトロで味がある空間に見えないこともありません。パリやロンドンでは、古い物件ほど重宝されると聞きますし、一般的な発想を転化して、時がゆっくり流れる昔懐かしい昭和の空間に癒されるのも素敵です。