賃貸の礼金制度はなぜあるのか(青森県/学芸員/46歳/男性)

僕は青森県に住む46歳の学芸員です。僕の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。


不動産を借りるときは契約時にある程度まとまったお金を払います。それは信頼を得るためや手続きの費用として払いますが、賃貸物件を借りる時は敷金と礼金を払います。敷金は退去時に部屋を原状回復させる必要があるので、そのための費用として予め払うものです。借りる側の原状回復の責任はそれほど大きくはないので、普通に使っていれば敷金の負担は小さいです。それに対して礼金は部屋の修繕費のような具体的な意味を持つものではなく、商習慣で払っているものです。このお金は昔住宅事情が悪い時代があって、その頃に家主にお金を渡す習慣がありました。部屋を貸してくれた感謝にお金を渡すことが多く、その習慣がいまだに残っています。ただ最近は不動産が供給過剰なので払う意味はなくなってきています。


賃貸の礼金の制度は敷金とは違って法的な意味の薄いものです。敷金は修繕費として払いますし、余った分は返ってくるので制度的な意味があります。しかし礼金はお礼の金に過ぎず、法的な意味があるわけではないので払う意味がありません。ですから最近はこのお金はいらないのではという考えも強まっていて、お金を取らない不動産も増えています。不動産を借りる契約では信頼を得るために、借りるときに大きめのお金を払うことが多いです。そのため一回習慣になってしまうと、それを変えるのが難しいところがあります。このお金も時代に合っていないのに要求されることが多く、払う意味がよくわからないお金になっています。本来であれば制度を変えるべきなのですが、それをビジネスに組み込んでいる業者が多いのでなかなか変えれないのが実情です。