私は福島県に住む70歳の着付師です。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。
賃貸住宅に入居する際は、通常、家主に対して敷金及び礼金という名目のお金を支払います(地域によっては異なる習慣をもつところもあります)。このうち敷金は家賃の滞納や住居設備の破損などが発生した場合に備えた担保的性格を持つもので、そのような事態が起こらなければ退去時に返還されます。これに対して礼金はその性格がはっきりしていないうえに、いったん支払うと返還されることはありません。もともと礼金はその起源についてもはっきりしたことが分かっていません。一説には、住宅難の時代に部屋を貸してくれたことに対する感謝のしるしとも、一人暮らしをはじめた子供のために親が家主に対してあいさつ代わりに渡したのが始まりともいわれています。
いずれにせよ、元来は一部において慣例的に支払われていたものが、いつしか広く普及して一般常識化していったものと考えられます。ただし、性格や期限がはっきりしていないからといって支払わなくてよいというものではありません。契約書中に明記されているのであれば支払う必要がありますし、返還を求めることもできません。また、家主の不当利得であると一方的に断じることができるかというと、これも難しい面があります。というのも、入居者同士のトラブルの仲裁など、契約外の事情で家主に苦労をかけることもあるからです。なお、住宅事情の変化を受けて近年では礼金を必要としない物件も徐々に数を増してきています。こうした物件は入居者にとっては初期費用の負担が軽くなるというメリットがあります。