私は岡山県に住む66歳の旅行作家です。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。
マンションや事務所、店舗などを賃借した時に敷金というものを支払ったことがあると思います。この敷金についてきちんと理解している人はそお多くありません。そもそも敷金についての定義ですが、賃料や建物の損害賠償など賃借人が負うべき債務を担保するために、賃借人から家主に交付される金銭のことです。契約終了後、目的物の明渡しがなされた時に、賃借人がそれまでに負った未払い債務を差し引いて(充当して)、残りがあれば賃貸人から賃借人に返還されます。ちなみに返還額が定まるのは、目的物の明渡しがなされてからです。したがいまして、敷金返還請求権と目的物の明渡請求権とは、同時履行の関係にはありません。明渡しが先になります。
そして賃貸借契約の継続中に、賃借人が賃料の支払いを滞らせた場合、敷金から充当するかどうかは家主の自由に任されています。賃借人のほうから充当してくれるように請求することはできない、とされています。これらのこと以外にも、賃貸借の目的物の所有権が移転し、新しい所有者が賃貸人となった場合、それまでの未払い債務を充当してもなお残る返還債務は、当然に新しい所有者に引き継がれます。所有権の移転に伴って当事者間で授受がなされたかどうかは関係がありません。つまり賃借人が返還請求権を行使する相手方は常に、旧所有者ではなく、新しい所有者(契約終了時の賃貸人)になります。これからマンションなどを借りようと思っている人は以上のことを頭に入れておくといいとおもいます。