僕は岐阜県に住む29歳の医師です。僕の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。
建物の賃貸借契約においては,契約時に賃借人が賃貸人に敷金を差し入れることが一般的です。敷金とは,賃貸借中に賃借人が賃貸人に対して負担する賃料を始めとする一切の債務を担保するために差し入れられる金銭のことです。したがって,賃借人には,契約が終了すればこれを返還してもらう請求権が生じることになりますが,担保すべき債務がある場合にはそれが控除されることに注意が必要です。控除される費用の代表は未払賃料ですが,それ以外に重要なものとしては,原状回復のために必要な費用があります。これは,一般に,賃貸借契約においては,賃借人に原状回復義務があると考えられていることから,そのために必要な費用が控除されることになるのです。
そのため,賃借人にこのような債務が存する場合には,当事者のいずれかがこれらの債務と敷金返還請求権とを相殺するという意思表示をするまでもなく,賃借人は,これらを差し引いた金額しか返還請求することができないということになります。また,敷金は,賃借人が契約の目的物を明け渡すまでに発生した賃借人の債務を担保するものですから,その返還請求権が発生するのは,契約が終了した時点ではなく,目的物たる建物を賃借人が明け渡した時点であるといわれています。したがって,契約が終了した後であっても,賃借人による建物の明渡しが遅れていれば,その間に発生する損害賠償金(賃料相当損害金)などは,敷金から当然に差し引かれることとなります。