私は静岡県に住む69歳の落語家です。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。
賃貸契約に限りませんが、契約は契約自由の原則があり、違法でない範囲においては当事者の間で自由に契約を結ぶことが出来るようになっています。そのために、契約の中で保証金に対して敷引特約が設定されていることがあります。この特約が設定されていると、退去の際に何も問題が無かった場合でも、保証金の中から敷引特約で設定された分だけ金額が差し引かれた上で、保証金が返還されるようになっています。ところが、この敷引特約は消費者保護法の10条に違反するのではないかと訴える借主が現れました。消費者保護法は、経験の浅い消費者と経験豊富な事業者の間での契約は、事業者の方が有利であるために、消費者を保護する目的で定められている法律です。
消費者保護法の10条では、消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効になる事が定められています。そのために、消費者保護法10条に敷引特約は違反するという主張です。この裁判は不動産業界では非常に注目を集めました。最高裁判所の判決では、敷引特約は取りすぎでない限りは有効であるとされ、決着がつきました。そのために、敷金や礼金ではなく保証金で契約を結ぶときには契約書の内容をきちんと確認することが大切です。契約書の内容の中に敷引特約が記載されていた場合には、常識の範囲内の金額であればその契約は有効となるために、契約に同意した以上は知らなかったでは済まされなくなります。敷引特約に限りませんが、契約は非常に重要なものなので、納得した上で同意するようにしてください。