賃貸物件を退去する際の原状回復について(和歌山県/都市計画コンサルタント/54歳/女性)

私は和歌山県に住む54歳の都市計画コンサルタントです。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。


賃貸物件を退去するとき、借主には原状回復の義務があります。早い話、「借りたときの状態にして戻しなさい。」ということなのですが、その原状回復がなされていないと判断された場合、修繕費用を補てんする目的で、入居時に一時的に支払っている敷金の返金額が減額されたり、修繕金を請求されたりすることになります。では、どの程度まで元に戻したら原状回復したことになるのでしょうか。国土交通省がまとめた「賃貸物件の原状回復に関するガイドライン」によると、「通常生活する上で起こる劣化については、借主に費用負担の義務はない。」とされています。代表的な例としては、大型家電を設置したときにできる壁の電気焼け、壁紙の日焼け、家具をおいたことによる床のへこみ、があげられます。


一方、借主に費用負担が発生するものとしては、たばこのやに汚れ、補修が必要なほどの床の傷やしみ、くぎやねじによる壁の穴、ペットによる壁の破損といったものが挙げられます。また、キッチンや浴室などの水回りでは、掃除を怠ったことによる過度の汚れも費用負担の対象になるとされています。ただ、中には経年劣化とみなされるものか、それとも過失や故意による汚損や破損とみなされるものかが判然としないケースもあります。退去時に、「思ったより修繕費用が差し引かれていて、敷金があまり返ってこなかった。」など、大家さんとトラブルになりやすいポイントでもありますので、賃貸契約時は、退去時に備えて、入居時の状態を写真に残すなどの対策をとっておくほうが賢明といえるでしょう。