賃貸物件の礼金の性質について(富山県/スタジオ・ミュージシャン/27歳/女性)

私は富山県に住む27歳のスタジオ・ミュージシャンです。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。


賃貸物件を借りる契約を結ぶと、様々な初期費用が必要になります。その初期費用の大部分を占めるのが礼金や敷金の名で呼ばれる費用です。この2種類の費用を一括して何ヶ月分といった形で表示しているケースが多いので、両者を混同している人が少なくありませんが、全く性格の異なる費用です。もっとも大きな違いは、敷金は退去時に戻ってくる可能性があるお金ですが、礼金が返金されることは絶対にありません。返金されないことについては賃貸契約書にも明記されているはずです。なぜ返金されないのかと言うと、この費用は文字通りお礼の意味を込めて支払われる費用であると考えられているからです。お礼としていったん渡したものを、後になってから返してくれと言うのは非常識です。


そもそも礼金という費用が誕生した背景には、戦後の住宅難があったと言われています。終戦直後は街が破壊されていましたので、住む家を借りたくてもなかなか見つけることができませんでした。そのような状況であれば、家を貸してくれた大家に対してお礼を言いたくなるのも理解することができます。また、高度成長期以降、就職や進学などで上京する人が増え、身内に代わって何かと面倒を見てもらうことになる大家に「よろしくお願いします」という気持ちを込めて贈るようになったという説もあります。いずれにしろ、古き良き時代には通用する慣習でしたが、現代では実情に合わなくなってきています。そのため、この礼金を不要とする賃貸物件も登場するようになってきました。