賃貸契約での礼金とは何か(東京都/フライトアテンダント/73歳/女性)

私は東京都に住む73歳のフライトアテンダントです。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。


賃貸契約を交わした際に支払う「礼金」ですが、これは「敷金」と違って後から返還されることはありません。関東地方から広がった仕組みで、都会に子どもを上京させる親が、これから世話になる大家に「何かあったら面倒見てください」の願いを込めて包んだお金が由来となっています。ですから契約時にも家賃の支払い時にも大家の顔を見ることもない現在では、その役割を終えたともいえます。それでも慣習として残っているのは、大家の収入源だからです。おおむね家賃の1~2ヶ月分であることが多いですが、返還されない分高額イメージです。この礼金に関しては法的有効性の見地からも意見が分かれています。裁判の判例を見ると、肯定派・否定派にはっきりと分かれています。


法的有効性はともかくとして、これだけ住宅供給が過剰で、空室が目立っている昨今では、借り手の方がずいぶん強くなりました。賃貸契約書を見ると、仲介手数料にしろ初期費用は、貸し手のいいなりに設定されていて、以前なら「いやなら貸さない」という感じでした。ところが、借り手もネットの普及で勉強するようになり、賃貸物件も探しやすいので、借り手有利の状況だといえます。契約時に値下げ交渉をして、礼金が半額になったり、タダになったりすることは珍しくなくなりました。逆に「礼金ナシ物件」と全面にアピールする業者もあります。最近の賃貸物件は不動産会社が家主に「家賃保証」をしていることもあるので、業者としては空室のままよりも、礼金を安くしてでも入居してもらったほうが良いのです。そのため家主を説得することも多くなったようです。