賃貸契約の敷金・礼金の法的性格とその返還(徳島県/演歌歌手/62歳/男性)

僕は徳島県に住む62歳の演歌歌手です。僕の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。


マンションやアパートなど物件を借りる際には多くの場合敷金や礼金を支払ますが、これらはぞれぞれに法的性格を異にしておりその為返還の有無が分かれます。まず礼金の法的性格に関しては賃料の前払いや契約締結の謝礼など様々な説があるもののいずれの場合でも賃借人から賃貸人に対して支払を済ませば完了する義務である為その返還は予定されていません。一方で敷金の法的性格は一種の停止条件付返還義務を伴う金銭所有権の移転とするが判例・通説の見解で、賃料やその他の債務を担保する目的で賃借人から賃貸人に対して交付される金銭とされています。この担保する債務の範囲については賃貸借関係から生じる全ての債務に及ぶとされており、敷金の交付契約の法的性格は賃貸契約に付随する要物契約となっています。


そこで、この敷金の返還については担保として交付するものですので賃借人側にこれの充当を要する債務が無い場合では時期が来れば当然返還が予定されています。そして、この返還の請求時期については契約終了時か明渡時かに説が分かれていますが、判例及び通説では明渡時とされています。これは契約が終了しても明渡時までの間に賃借人に債務が発生する可能性があり、また明渡時になって初めて債務が確定することからその返還請求権は明渡時に発生するとされています。因みにこの確定される債務は原状回復義務に基づくもので、不動産価値の減少に於いて賃借人の故意や過失、善管注意義務違反また通常を超える使用により損耗などした場合に回復義務を負い、通常敷金から原状回復に要する費用を差し引いた額が返還価額となります。