僕は沖縄県に住む38歳の青年海外協力隊員です。僕の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。
アパートやマンション、一戸建てといった賃貸住宅を借りるためには、契約時に敷金や保証金が必要となるケースが一般的です。この敷金や保証金は通常、賃貸契約を解除する際に借り主に返還されますが、借り主が使っていた部屋の原状回復のための費用に充てられることも多いです。賃貸住宅の原状回復とは、壁紙の張り替えやふすまの修繕、畳の交換などを指します。国土交通省のガイドラインは借り主の過失による修繕などは借り主の負担となり、経年変化による損耗などは貸し主の負担となることを定めていますが、原状回復費用を名目に敷金から多額のお金が差し引かれたり、新たに負担を求められたりするケースが後を絶たず、一部で問題となっていました。
実はこうしたトラブルの背景には、民法の落とし穴があります。現行法では「敷金とは何のためのお金か」「借り主に返還する際は何を基準とするべきか」といった具体的な定めがなく、結果的に運用は貸し主の裁量にゆだねられていました。貸し主と借り主のトラブルが後を絶たないことを受け、国は今後、民法を改正する方向で検討を進めています。実現すれば、明治29年(1896年)の制定から、およそ120年ぶりの変更となります。賃貸住宅をめぐるトラブルを防ぐため、敷金の定義を明確にする条項が盛り込まれる見通しです。賃貸住宅の現場では、この改正によって、関係者の理解が深まるとともに、不毛なトラブルが減ることが期待されています。