賃貸契約に於ける敷金の役割と返還(京都府/通関士/50歳/女性)

私は京都府に住む50歳の通関士です。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。


マンションやアパート等の賃貸住宅では契約に必要な費用な1つとして敷金がありますが、これは不動産取引上の慣習としてある一回払いの礼金とは異なって、賃借人の賃料遅延債務や損害賠償その他の債務を担保する役割があり、契約時に予め賃借人に対し一定の金額を預託し退去後には返還される性格を有します。この担保機能は契約締結時から退去時の賃借人の明渡債務が完了するまでの間に生じる損害に対して効力があり、損害が発生すれば相殺の意思表示をするまでもなく当然に充当されます。因みに、関西地方等の一部地域では敷金と性格が似た保証金が設定されていますが、これと比較した場合では保証金は契約終了後に必ず一定額を支払うものですので、敷金では損害の発生如何による負担の範囲が違います。


そして、担保機能を果たす一時的な金銭であることから、契約を解除して退去した後には返還がされますが、この敷金返還は、解除によって賃借人に発生する原状回復義務により建物の修繕費用等が必要な場合にはその負担額が差し引かれて清算されます。その原状回復は入居時の状態に戻すことではなく、賃貸住宅自体の歳月の経過による劣化や賃借人が通常の使用をしても発生し得る損耗についての費用は賃料に含まれているとされており、建物の価値を減少させる損耗や毀損が賃借人の故意又は過失、善管注意義務違反等がある場合にその費用負担があります。また、通常の使用に関しては建物の築年数と賃借人の帰責事由の相関関係により斟酌されるものですので、特約等ない場合には原状回復費用は賃貸人との間で分担されます。