私は香川県に住む61歳の給仕人です。私の考え方が、あなたの部屋探しのお役に立てれば嬉しいです。
礼金とは、賃貸契約締結時に借り手が貸し手に支払う一時金で、主に関東地方でみられる商慣習です。関西地方でのいわゆる敷引きに相当します。その法的な性質については、賃料の前払いであるとか、賃貸契約締結に対する謝礼であるといった、いくつかの説があります。地裁レベルではありますが、判例の立場では、礼金は賃料の前払い性質を有する金銭で、その支払は適法かつ有効であるとしているものがあります。ただし、類似の性格の敷引きについては、有効性を否定する地裁レベルの判例も存在し、明文規定の存在を欠くことからもその存在や金額の有効性が問題になることがあります。もともとは、コミュニケーション手段が未発達だった時代に、遠方から上京してきた借り手の面倒をみてもらうための、まさに謝礼の前払いのような存在だったようです。
現在では出身地の知り合いや縁者とのコミュニケーションも簡単に取れるようになりましたが、関東地方では礼金という商慣習は残っています。昔は、敷金と礼金、それぞれ家賃の二か月分、というのが関東地方での相場でしたが、近年ではかなり変化がみられるようになりました。敷金も礼金も必要ないとする賃貸物件や一か月分とする物件が増えてきたのです。このような物件について貸し手は、月額にならすと敷金等がある場合と変わらないように家賃を設定しようとしますが、初期費用が軽減することで借り手は賃貸物件での生活を始めやすくなりますし、特に短期間で退去する場合などには、トータルコストも抑えられることになります。賃貸物件を利用するメリットの一つが身軽さであることを考えると、このような物件の増加は借り手にメリットをもたらすと言えるでしょう。